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| この数年来の経済の牽引役として隆盛をきわめたIT産業も昨今は、シリコンバレーの状況に象徴されるように、一時的な失速状態にある。その大きな原因としては、ハードのブロードバンド化が家庭内やオフィス内にまで浸透しないままに、コンテンツを含めたソフトに対する期待ばかりが膨らみ、両者の間のギャップが大きく現実化してきたことを挙げることができよう。 このようなIT産業を取り巻く状況をブレイクスルーするには、情報技術に新たな進展を拓くことが求められる。そしてその情報技術の新たな進展の為には、ギガビットクラスの光ファイバ網を末端の家庭内やオフィス内まで如何にして敷設するかが最も大きな課題となる。「最後の1km」などとも呼ばれる、通信網末端系は、通信網全体の95%近くを占めるといわれ、その光ファイバ化においては膨大な数の接続や分岐が必要となる。一方、今日までの情報技術の進展を支えてきた通信網幹線系の光ファイバ化で主役を担っている石英系光ファイバは、その直径が髪の毛の10分の1以下ときわめて細い。そのためこの石英系光ファイバによる「最後の1km」の光ファイバ化は、膨大な数の接続や分岐への対応に膨大なコストを要し、未だ実現されていない。そしてまたこのことが情報通信システムにおけるハードとソフトの今日的なギャップを招いた大きな要因の一つとなっているともいえる。 このような状況下にあって、接続や分岐に関して既存の金属線と同レベルの取扱い性や施工性を有し、しかも石英系光ファイバに匹敵する高速性をも実現する大口径高速プラスチック光ファイバ(GI型プラスチック光ファイバ)の研究開発が慶應義塾を中心に進められてきており、既にその実用化も一部で図られている。また慶應義塾では、藤沢キャンパスを中心に、インターネットをベースとした高速データコミュニケーションシステムの先導的研究開発も進められている。今やこれらの技術をベースとすることで、これまで大きな期待が寄せられながらも未だ実現していない、リアルタイムでの動画伝送、Webサイトへの高速アクセスやそこからの大容量ファイルの瞬時的ダウンロードなども現実のものとなりうる。しかし、このようなギガビットクラスの情報空間を一般住宅やオフィス内に構築するには、ハードとソフトを両輪とする未来志向型研究開発プロジェクトが必要であると思われる。例えば、お年寄りが深夜に具合が悪くなった時、鮮明なリアルタイムの動画像で病院の医師と会話が出来ればどんなに家庭に安心をもたらすことができるでしょう。 Giga House Townプロジェクトは、このような認識の下に、慶應義塾をはじめとする大学の研究成果を広く社会に還元すべく、多種多様な業種を一つのプロジェクトとして連携させることで、一般住宅の高度情報化ならびに高度に情報化された一般住宅群が形成する「ギガハウスタウン」の可能性と有用性、さらにはその経済性までを実用規模で実証して、今後における情報技術のさらなる発展に寄与することを目的に、(財)慶応工学会-21世紀の新たな技術を育てる、産業界と大学を結ぶパイプ役-が構想してこれを提案するものである。このような試みは、世界的にも未だ例がなく、これを成功させることにより、真の高度情報化社会への新たな展望が開かれるものと考えられる。 |
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